GW(ゴールデンウイーク)10連休における休日加算の取扱い~「従前のとおり」とは?~

2019年度のゴールデンウイークが10連休になったことで医療機関はいろいろと判断に迫られます。

まず、10連休中に診察日を設けるのかどうかという問題。ちなみに当院では10連休中に2日間を診療日にする予定となっています。

ここの部分は1日間の所や3日間の所など医療機関によって様々です。

先に厚生労働省は全国で十分な医療提供がなされるか気に掛け、各都道府県知事に宛てて医療機関などの対応状況を調査するよう通知を出しました(2019年1月15日付)。

また、この通知を追って厚労省保険局より、10連休GW中の診療報酬に関する通知も出されました。

通知には休日加算の取扱いと投薬の取扱いについて通知されています。

その中でも今回は休日加算について詳しく見ていきます。

診療報酬に関する通知

診療報酬に関する通知の内容は主に2点で、以下のことが示されています。

1.休日加算の算定

2.療養担当規則にある「厚生労働大臣が定める内服薬及び外服薬投薬の処方(処方箋)制限の(投与期間に上限が設けられている医薬品)の取り扱い」と「長期の旅行等特殊の事情がある場合」の期間制限(新医薬品14日を30日
限度とする)の例外的な対応(レセプトの摘要欄にその理由を記載する)

詳しくは次に書いてあることになるのですが、ここで分かりづらいのは従前のとおりとする、との説明です。

従前のとおりとは?

1 「診療報酬の算定方法」(平成20年厚生労働省告示第59号)別表第一医科診療報酬点数表第1 章区分番号A000に掲げる初診料の注7、注8、区分番号A001に掲げる再診料の注5、注6、区分番号A002に掲げる外来診療料の注8及び注9、別表第二歯科診療報酬点数表第1章 区分番号A000に掲げる初診料の注7、注8、区分番号A002に掲げる再診料の注5及び注 6並びに別表第三調剤報酬点数表第1節区分番号01に掲げる調剤料の注4に規定する休日加算の取扱いについては、従前のとおりとする。

2 「保険医療機関及び保険医療養担当規則」(昭和32年厚生省令第15号)第20条第2号ヘ、ト及び第21条第2号ヘに規定する投薬の取扱い並びに第20条第3号イ及び第21条第3号イに規定する処方箋の交付の取扱いについては、従前のとおりとする。なお、処方箋の記載上の留意点については、「診療報酬請求書等の記載要領等について」(昭和51年8月7日保険発第82号)を参考にされたい。

今回は休日加算について見ていくので 1 に注目します。

そこで、まず 1 を要約すると、10連休中において、初診料、再診料、外来診療料などに付帯する「休日加算」は算定要件および施設基準に則り従前通り算定してよいということが書かれています。

ですのでここでは初診料の留意事項を正しく読み込んでおかないといけません。

初診料の留意事項は次に示すとおりです。

まず、以下①のアは対象となる休日を設定しており今回の10連休も休日扱いとすることが分かります。

① 初診料の留意事項

ア 休日加算の対象となる休日とは、日曜日及び国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)第3条に規定する休日をいう。なお、1月2日及び3日並びに12月29日、30日及び31日は、休日として取り扱う。

イ 休日加算は次の患者について算定できるものとする。

(イ) 客観的に休日における救急医療の確保のために診療を行っていると認められる次に掲げる保険医療機関を受診した患者

① 地域医療支援病院

② 救急病院等を定める省令(昭和39年厚生省令第8号)に基づき認定された救急病院又は救急診療所

③ 「救急医療対策の整備事業について」(昭和52年医発第692号)に規定された保険医療機関又は地方自治体等の実施する救急医療対策事業の一環として位置づけられている保険医療機関

(ロ) 当該休日を休診日とする保険医療機関に、又は当該休日を診療日としている保険医療機関の診療時間以外の時間に、急病等やむを得ない理由により受診した患者(上記(イ)以外の理由により常態として又は臨時に当該休日を診療日としている保険医療機関の診療時間内に受診した患者を除く。)

ウ 休日加算を算定する場合には、時間外加算、深夜加算、時間外加算の特例又は夜間・早朝等加算については、算定しない。

次に、「イ 休日加算は次の患者について算定できるものとする」では、算定できる対象患者が分かります。

これは(イ)または(ロ)のどちらかに該当することが条件です。

よって(イ)であれば地域医療支援病院や救急病院・救急診療所、休日当番医・輪番制の医療機関が該当します。

もう一方の(ロ)は、(イ)に該当しない医療機関において、休診日としている日に急病等で受診した患者に限り算定可能になります。

算定の解釈

ここで注意すべきは救急病院等(つまり(イ)に該当)でありながら、急病で来た緊急の患者だけに算定できると誤認識してしまうことです。

正しくは、救急病院等((イ)に該当)であれば、患者の診察上の初診、再診、緊急等の条件は特別関係なく全ての患者で算定出来ます。

休日加算が算定出来てしまう医療機関においては今回の10連休ではこの解釈がポイントです。

なぜなら10連休中のいずれかの日を通常の診療日としようとする医療機関のうち(イ)に該当する医療機関は診療日なのに客観的に休日であるため休日加算が算定可能となってくるからです。

特に予約患者(再診)の立場からすると、平日のつもりで予約したのに、いつもの料金に休日加算分が上乗せされた金額を請求されることになります。

この休日加算は、初診(+250点)、再診(+190点)となっているので、当然、医療機関にとっては大きな収入となりますが、患者側にから見ると理不尽にも思えてくるかもしれません。

その為患者の理解を得られずクレームとなることも予想されます。

事前対策

となると選択枝は2つあって、まず1つ目は事前のアナウンスをかなり前から徹底的に行っておき、なおかつ当日も窓口で理解頂けるように説明を繰り返すという方法です。

もう1つは再診では休日加算をとらないとする方法です。加算は初診のみで算定すると決めておくパターンです。

ですがその前にそのような算定の使い分けが可能かどうかを確かめないといけません。

算定できるものとする?

これは①のイを見ると「休日加算は次の患者について算定できるものとする」とあります。

ここでの算定できるといういいまわしは算定してもしなくてもどちらでもOKという解釈になります。

従って医療機関の判断で初診料のみで休日加算を算定するということも可能となります。

ただし、繰り返しますがこれは(イ)に該当する医療機関の場合のみです。

客観的に休日における救急医療の確保の為に診療を行っていると認められる医療機関ということなので、地域医療支援病院、救急病院・救急診療所、休日当番医・輪番制医療機関などが該当です。

その他の一般の医療機関では診療応需体制にある場合は算定出来ません。

その他の一般の医療機関が算定出来るのは急病などやむを得ない場合で、診療応需体制を解いている休診日、あるいは診療日の時間外となります。

まとめ

過去に例のない10連休の対応について私達は分かっているようで分かっていない部分がまだあるような気がします。

全国的に医療機関の稼働が縮小するすることになると考えられる為救急患者が一部の稼働医療機関に集中することも考えられます。

これらのことを鑑み日本病院団体協議会は昨日一時的な診療報酬に関する施設基準等の緩和を厚労省へ要望する考えをまとめました。

具体的な要望内容は今後更に詰められていきますが、具体案として連休中の人員配置基準緩和、救急患者の集中による定員超過入院にかかる減算緩和、レセプト提出期限の延長などが示されました。

今後もまだ何か問題点となりうる事が出てくる可能性もあります。

連休中に外来診療を行う医療機関は今から様々な想定、対策を講じておく必要があります。

また、今後も厚労省からの通知等には十分注意を向けておくべきでしょう。

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