令和となりました【改元に伴う取り扱いや西暦、和暦問題について】

いよいよ令和元年が始まりました。

私は本日一応休みではありますがなにかに備えて自宅待機です。

当院に関しますとシステムの元号対応については完了は全くしておらずシステム改修継続中です。

帳票類についても令和で発行されるものと平成で発行されるものが暫く混在する形となります。

ですが令和対応済みとされている帳票類も本番環境での確認はまだ出来ていない訳で、それに加えシステムの障害がないとも今の段階では分かりませんのでなんともいいがたい状況です。まあ何もないことを願っております。

さて振り返りますと1ヶ月前に新元号が発表されてから国からその取扱いについていくつかの提示がありました。

その部分の再確認と西暦、和暦問題についても整理しておきたいと思います。

改元に伴う元号による年表示の取扱いについて

まず4月1日付にて新元号への円滑な移行に向けた関係省庁連絡会議申合せということで「改元に伴う元号による年表示の取扱いについて」の国としての方針が示されました。⇒⇒⇒改元に伴う元号による年表示の取扱いについて

この中で年表示に関しては、国民生活への影響をできる限り少なくする、各府省における円滑な事務手続に資する―という基本的考えに沿って、「各府省が作成した文書等で『平成』を用いて改元日以降を表示している場合(例えば平成32年など)でも、当該表示は有効である」「やむを得ず申請、届出等の様式に『平成』表示が残る場合であっても、当該表示は有効であるが、必要に応じて手書きなどで訂正等を行う」などの取り扱いを示しました。

これを受ける形で厚生労働省は4月22日に通知「改元に伴う保険医療事務の取扱いについて」を示し診療録や処方箋、各種の届け出書類の取扱いについての方針を明確にしました。⇒⇒⇒改元に伴う保険医療事務の取扱いについて

その中身は次の通りです。

【対象となる様式】
▽診療録(医科・歯科)
▽処方箋
▽保険医療機関また保険薬局の指定申請様式
▽保険医療機関指定変更申請書
▽保険医又は保険薬剤師の登録申請様式
▽保険医又は保険薬剤師の登録票
▽診療報酬請求書
▽診療報酬明細書
▽調剤報酬請求書
▽調剤報酬明細書
▽訪問看護療養費請求書
▽訪問看護療養費明細書

まず、改元前の様式(旧様式)により使用されている書類は、改元後の様式によるものとみなされます。

その際、旧様式による用紙に「平成」の表示がある場合、合理的に必要と認められる範囲内で当分の間訂正印や手書きによる訂正などによりこれを取り繕って使用することが認められます。

例えば、処方箋の標準様式を見ると、「交付年月日」として「平成 年 月 日」、「処方箋の使用期間」として「平成 年 月 日」といった表示がありますが、この「平成」を訂正印や手書きなどで「令和」に改めて使用することが認められます。

また、国の作成する文書で改元日(5月1日)前に作成し公にするものは、改元日以降の日時は引き続き「平成」により表記されます(例えば「平成32年〇月」という表示がなされる)。

この点、「国以外の作成する文書も当該取扱いが望ましい」としたうえで、国民生活への影響をできる限り少なくする観点から、当分の間

①改元日前に「令和」により改元日以降の日時が表記されている場合、

②改元日以降に「平成」により改元日以降の日時が表記されている場合、

のいずれも必要な読替えをして受理されることが明確となりました。

医療機関等から患者等に交付する文書でも同様に有効なものとして取り扱うことができます。

ですので今後一定期間は平成表記のままの請求書、明細書等であっても読替えすることで提出、受理が可能だということです。

元号は強制ではない

そもそも論としてなぜ和暦なのか、和暦じゃないといけないのかという疑問があります。

これは元号法という法律を見ると分かるのですがその中には元号の使用に関する定めはありません。

ですので官公庁、医療機関などが作成、発行する書類の年月日表記について法律的なしばりはないのです。

故に西暦でも構わないのですが元来日本のお役所は和暦の意識が強くそれが慣習として続いているのでしょう。

そして民間機関はそれを見て右にならえとなりますのでやはり和暦使用となっているのでしょう。

そもそも元号制度は紀元前140年に中国、前漢で生まれた世界最初の元号である「建元」を由来としています。

日本では西暦645年の「大化」にはじまり「平成」にいたるまで247の元号があります。

明治以後は一世一元、つまり、ひとりの天皇についてひとつの元号に限る為、改元は天皇の御代替わりの際にしか行われません。

また現在の社会においてはかつてのような元号と西暦をめぐるイデオロギー対立はみられずほとんどの日本人は便利に暦を使い分けています。

ですので和暦にこだわらず事務処理においては西暦を使用してもいい筈なのですがどうもそうはなっていません。

これは先ほども述べましたが明確な理由はなくて昔からの慣習によるものです。

要するに今までずっと和暦表記できたのだからこれからもそうする。

他の官公庁が和暦表記を続けているのだから同じようにする、ということに過ぎないのです。

これは元号が平成になった際に内閣官房長官が「公的機関の事務については、従来から原則として元号を使用してきておりこの慣行は今後も当然に続けられるべきもの」「地方公共団体に対してもこのような趣旨で十分指導をしていただきたい」との旨を述べたことも影響しています。

事務処理は全て西暦統一でいい

現在いろいろな省庁や都道府県で和暦表記を西暦表記に変える動きが出てきています。

外務省は省内で作成する行政文書や外交文書の日付の表記を西暦に統一する検討をしているとのことです。

また政府の方針としても各省庁での西暦統一への動きというものが出てきています。

時代の流れとしては官公庁が始めてそれに追随して民間も西暦表記へということになっていくとは思いますがそれはまだまだ先のことだと思います。

まとめ

和暦は文化なのでなくす必要はないと思います。

ただ、今回のシステムの改元問題を見ても分かるように改修が面倒ですし、例えば和暦表記の為に M・T・S・H・Rが必要になったり、また改修コストが余計にかかったりと得なことは何もありません。

システムベンダーが儲かるだけの話です。また、和暦、西暦を混在して使っているので非常に利便性の妨げになっています。

記入欄に  年  月  日 とあってもこれは一体和暦なのが西暦なのかと迷う場面があったり、平成26年が西暦何年だっけみたいないちいち考えることが時間のロスだったりと何かと併用するデメリットは多いように思います。

ですので便宜上元号は残した方がいいと思いますが行政や社会システムは全て西暦統一にするべきだと思います。

ですが以前院内でシステム、帳票・文書類の西暦表記統一について医師へ意見を聞いてみたところ別に西暦で統一する必要はなく今まで通りで良い、という回答が多かったのも事実です。

ここも官公庁の昔からの慣習と同じことなのでしょう。

突き詰めれば単純に慣れの問題だけだと思いますが。

西暦表記が世間の多数派となればその意見も逆転すると思いますのでとりあえず時代の流れを待つことにします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。