消極的で挑戦しない部下は「学習性無力感」かもしれない

言われたことはやるけれど、それ以上は何もしない。

励ましたり鼓舞してみても、一向に響かない。

でもそんな部下の態度を見て、「やる気がない」と切り捨ててはいけません。

なぜなら部下の消極性は「学習性無力感」によるものかもしれないからです。

そしてそれは上司であるあなたが原因かもしれません。

自分がそうなっていないか今一度確認してみましょう。

消極的で挑戦しない部下は「学習性無力感」かもしれない

 

結論

 

部下の「学習性無力感」は、自分を客観視できない上司であるあなたの責任です。

学習性無力感とは

学習性無力感

 

学習性無力感とは、長期にわたってストレスの回避困難な環境に置かれた人や動物は、その状況から逃れようとする努力すら行わなくなるという現象である。

 

他の訳語に学習性絶望感、獲得された無力感、学習性無気力がある。

 

出典:ウィキペディア

要するに「何を言っても無駄」「どうやったって何も変わらん」って思っちゃうアレです。

上司に対して「この人には言っても無駄」と思っている部下の人って結構いるはずです。

そしてもう言うだけ無駄だから言わない、やるだけ無駄だからやらない、となる。

それは上司からすると、消極的で挑戦しない部下に見えます。

でも部下からしてみれば「好きでこうなったんじゃねえ」と言いたいわけです。

「あなたが部下の話を汲み取らないからじゃん」って思っている部下は少なくないのです。

学習性無力感を与える上司

部下の話をきちんと聞かない、仕事は丸投げしてくる、そんな上司はたしかにいます。

なぜそうなるのでしょう。

この人たちは部下の面倒をしっかり見ている、有能な管理者であるということをアピールしたいだけです。

要するに「自分はできる」ということを、さらにその上の上司に理解してもらいたいのです。

だから基本的に自分しか見えていません。

自分しか見えていないとはどういう状態かというと、自分の意見ありきとしている人です。

部下の意見を聞いているようでいて、実際はもう最初の時点から答えが決まっている人です。

つまり部下の意見には無関心ってことです。

ひとことで言えばオレ様上司です。

「オレはこう思う」「オレはこうする」「オレが正しい」

もう前提がそうなっている人です。

僕も昔そういう上司の元で、仕事をしていたときがありました。

最初の頃は意見があれば逐一伝えていました。

ですがそのうち「どうやらこれは何言っても無駄じゃん。意味ないじゃん。」ってことに気づきました。

もうわかってしまうのです。

「あんた、こっちの意見を拾い上げる気なんてさらさらねーじゃん」ってことが。

意見はどんどん言っていいよ風に見せかけといて、もう最初の段階で答えは出ているのです。

だったら「もう言う必要はないな」ってなってしまいます。

そうなると部下はその上司を無能と判断します。

しかし逆に上司はそんな部下を無能と判断します。

これはなぜか。

こういう上司は自分を客観視することなどしません。

だから発言をあまりしない部下に対しては積極性が足りない、モチベが低いと感じています。

「もっと主体的に動けないと、仕事ができる人にはなれないぞ」って本気で思っているのです。

このような部下との温度差が激しい上司は、部下にとっての理想的な上司像とはどんどんかけ離れていきます。

そしていつまで経っても裸の王様であることには気づかないのです。

学習性無力感を身につける部下

先ほどの僕の例の場合も、裸の王様の上司はいつまで経ってもそのままでした。

そして部下一同はせっせと無力感、無気力を身につけていったのでした。

「どうせ何を言ったところで意味がない」

「言い合うだけ無駄」

「話すのがめんどくさい」

そんな感情しか持てなくなりました。

今改めてその当時のことを思い出してみるとわかることがあります。

それは部下のやる気のなさの原因のかなりのパーセントは、その上司が握っているということです。

上司は自分では気づかないうちに、自然と部下に無力感を学習させているのです。

学習性無力感って何かすごくつらそうに思えますが、そうでもありません。

なぜなら慣れるからです。

上司に期待しないことに慣れる。

上司に嫌われてもいいという感情に慣れる。

モチベが低いことに慣れる。

人間は環境適応能力が優れているので、どんな状況であっても慣れていくのです。

だから無力感にも慣れる。

でもこれは本当はすごい損失です。

大きな生産性の低下に繋がります。

できることなら絶対避けるべきことなのです。

その一番の対策は上司をチェンジすることですが、残念ながらその方法がとられることはほとんどありません。

まとめ

 

「あなたはどう思う?」と聞いておいて結局自分の意見を押し通し、部下の意見を拾わない上司というのは少なくありません。

上司なので自分のしっかりとした意見を持っておくことは必要です。

ですがそれはあくまで自分の意見だということを忘れてはいけません。

部下の主体性を促そうとするならば、部下に意見を出してもらおうとするならば、つねにゼロベースで意見交換できる環境を作る必要が上司にはあります。

「モチベ低いな」「やる気ないな」と見なす前に、自分はそんな環境を整えている上司であると100%言い切れるか、ということを自身に問わなければいけません。

消極的で挑戦しない部下を作り出したのは、あなたかもしれないのです。

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