さきの11月29日に開催された社会保障審議会・医療部会において、2022年度診療報酬改定の基本方針骨子案が示されました。
これは骨子案とはなっていますが、実質の取りまとめ案です。
いよいよ次期診療報酬改定議論も佳境に入ってきました。
今月中旬以降には診療報酬・薬価の改定率も決定されます。
そして年が明けると告示まではあっという間です。
今のうちに次期改定の論点を理解し、一刻も早く自院の展望を描きシミュレーションできるようになっておきましょう。
今回はまず「急性期入院医療」について見ていきます。
目次
【2022診療報酬改定】第2ラウンドを見る【中医協ウォッチ②】<急性期入院医療その1>
結論
なんちゃって急性期を排除します。
急性期とは何ぞや?
今回の改定においてのキーワードのひとつが「なんちゃって」です。
これは、なんちゃってを是正しよう、除外しようということです。
つまり、なんちゃって急性期、なんちゃって回復期は排除してしまおうということ。
特に急性期については、「急性期一般入院料1」をどのようにするのか?というところが注目点です。
そしてその急性期を厚労省がどうイメージしているのかといえば下図のとおりです。
そして今までの議論や資料から読み取れることをざっくりいうと、次の2点が挙げられます。
・救急、手術、ICUに注力している病院は高く評価
・なんちゃって急性期は排除
2点目の事項については要するに
なんちゃって急性期(急性期らしくない病院)には退場してもらう
ということ。
そのようなしかけを今回の改定でほどこすということです。
大なり小なり現状の急性期入院(急性期一般入院料届出病院)を「高度急性期」と「それ以外」に分けてしまおうという流れに見えます。
高度急性期・急性期における今改定のポイント
今回の改定のポイントとなりそうなところは次の4点。
・一般病棟用の重症度、医療・看護必要度
・特定集中治療室管理料の看護必要度
・新指標の創設
・救急医療管理加算の基準の定量化、明確化
今回は1点目の「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度」について見ていきます。
一般病棟用の重症度、医療・看護必要度
評価項目の見直し
ここでの主だった論点は次の2つ
・心電図モニター管理
・点滴ライン3本以上管理
心電図モニター管理
心電図モニターを必要としない患者にまで装着されている懸念がある
→このままA項目に残すか、除外するか?
点滴ライン3本以上管理
使用薬剤が2種類以下であるにも関わらず「点滴ライン3本以上管理」に該当するケースが存在する
→評価基準を見直すか?
上記の論点に関しては診療側と支払側とで意見は対立しています。
今後必要度の試算などデータ検証の上、最終決定となりそうですが、完全決着せず2024年改定へ持ち越す可能性もあります。
その他にも「輸血や血液製剤の管理(A項目)について」「口腔清潔・食事摂取・衣服着脱(B項目)について」などが検討点として上がっています。
・心電図モニター管理(A項目)
→評価の厳格化 or 削除?
・点滴ライン3本以上管理(A項目)
→薬剤2種類以下での評価厳格化?
・輸血や血液製剤の管理(A項目)
→高く評価する(新しく評価区分を設ける?)
・口腔清潔・食事摂取・衣服着脱(B項目)
→高い相関があるため改めてB項目を整理?
重症患者割合の見直し
重症患者割合(看護必要度を満たす患者割合)の基準値を見直すかどうかについても、診療側と支払側とで意見は対立しています。
今後の議論に注目です。
看護必要度Ⅱの推進
看護必要度Ⅱを用いることで「看護職員の負担軽減に大きな効果がある」ということはさまざまな調査で明らかになっています。
このことからもわかるとおり、次回改定では
看護必要度Ⅱを必須とする病棟の拡大
が予想されます。