医事関連のテーマを中心に感じたこと、考えたことを綴っていきます

解釈に答えはない!~診療報酬請求のグレーゾーン~

医療費の計算のもととなっているのが診療報酬点数表という厚生労働省が定めた点数表です。あらゆる医療行為はこれをもとに点数に置き換えられます。通称解釈本と呼ばれたりもしますが、その
呼び名の通り解釈が必要なんです。

ファジーな要素満載

お国が作ったものなのでさすがにこと細かく書かれています。

基本的にはこの処置は52点、この手術は10000点というようにとれる点数が書かれています。ちなみに1点=10円なので52点なら520円となります。

その中で算定出来る条件が決められているものがあって、その説明が随所にあります。問題はその書き方がすごくまわりくどかったり、あいまいな説明しかなかったりと超分かりづらいんです。

これは確信犯であえてそういう表現にとどめています。例えば、○○又は△△等みたいな「等」ってそこには何を含んでいるんだー!と言いたくなるような言い回しが山ほどあります。

解釈の解釈

事務としては解釈本を読み込み正しい請求をしていく必要があります。よくこの解釈本の解釈本がいるよ、みたいなことを冗談で言ったりしますが、まさしくそんな心境になります。

「単なる」とは何ぞや?

最近もそんな心境になるような件がありました。

K037 腱縫合術の通知に以下のことが書かれています。

『切創等の創傷によって生じた固有指の伸筋腱の断裂の単なる縫合
は、K000創傷処理の「2」又はK000-2小児創傷処理の
「3」に準じて算定する。

ポイントは「単なる縫合」です。単なる縫合なら1680点でそうでない縫合(複雑な縫合)ならば13580点となり雲泥の差があります。

ネットで調べていたら「収縮した腱を探す為に部位の延長切開又は補助切開がなされていれば複雑な縫合にあたる」模様みたいなことが書かれてありました。

支払基金登場

しかしそこはあくまでネットの情報、参考にはなりますが鵜呑みには出来ません。確証を得る為に支払基金に電話します。

支払基金とは
正式名を社会保険診療報酬支払基金といい、医療機関から提出された
診療報酬請求書の審査及び保険者(全国健康保険協会、健康保険組合
等)から医療機関への診療報酬の支払仲介を目的と設立された特別
民間法人(ウィキペディア抜粋)です。

要は医療機関の請求を通すも通さないもここ次第ということです。

解釈本に書いてあることを当院はこういう意味だと解釈しましたがどうでしょう?と質問してそれであってますよ、と言われれば請求は通る訳です。今回の場合だと単なる縫合と複雑な縫合の解釈を聞きたい訳です。

電話する前はおそらく「複雑な縫合で算定する場合は延長切開や補助切開が必要でその長さや手術内容をレセプトに記載するか、又は症状詳記や手術記録の添付」で請求可能なんじゃないかと予想していました。しかし、予想は裏切られました。

噛み合わない会話がデフォルトです

私「単なる縫合とそれ以外の縫合の定義を教えてください」
基金「定義はありません。主治医が単なる縫合と判断すれば単なるで、複雑な縫合と判断すれば複雑で請求して下さい」

私「えっ、だからその判断基準を教えてほしいんですが」
基金「ですから今申しましたように、それは主治医の判断です。但し請求が通るかどうかは審査会が決定することなので別問題ですが」

私「だったら、その審査会の判断基準はどうなっているのですか」
基金「それは審査会の規定によりますので私共では分かりません」
私「・・・」

ここで言う審査会とは支払基金に設置されている「審査委員会」のことで、診療担当者代表、保険者代表、学識経験者の3者で構成されている医師、歯科医師及び薬剤師の委員会を指しています。

上記の会話をまとめると、単なる縫合、複雑な縫合をどう解釈するかはそちらの自由、でもそれが通るかどうかなんて知らねってことです。

この部分はまた別記事で詳しく書きたいと思いますが、支払基金は各都道府県に支部がありますが各支部で審査基準がバラバラです。全国の統一基準が存在しません。

いわゆるローカルルールというものがあって、その判断基準も明確な根拠がないものが多々あります。ですので他の都道府県が通っているから大丈夫とはならないのです。よって自院を管轄している支部に聞かないと意味がないんですが、上記のように答えのないままむなしく終わることもよくあります。

まとめ

国は審査体制を抜本的に見直し全国統一のルールを作る為に現在プロジェクトを進めていますが、まだ当分は不可解なローカルルールに縛られた審査体制が続くと思います。

医療費削減の為、医療機関の過剰請求、不正請求をなくす、という主旨は理解出来ますが、それならもっと早急にオープンでクリアな体制をとってほしいと願ってやみません。

冒頭で解釈はあえてあいまいな言い方でとどめている確信犯的なもの、と書きましたが、そうすることが国として医療費を削りやすくする為に有利に働くからなのでしょう。

私達に出来ることはより一層解釈を読む能力を高め、常に最新の請求情報をインプットし続け、正しい保険請求を行うこと、につきます。やはり、日々勉強が医療事務の鉄則なのです。

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