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医師事務作業補助者フル活用への考え方【費用ではなく原価です】

医師の働き方改革について国が本腰を入れて考えているのならばその鍵は医師事務作業補助者が握っている、診療報酬の点からも医師事務作業補助者に対しては依然追い風が吹いている、ということは以前記事に書きました。

⇒⇒⇒医師事務作業補助者の未来ってどうなの?【存在価値はもっと高まる】

⇒⇒⇒鍵はやはり医師事務作業補助者【医師の働き方改革】

次回の診療報酬改定においても医師事務作業補助者はキープレイヤーの1人であることは間違いありません。

そうはいっても現実は配置人数が少なかったり、そもそも配置していないという医療機関もあります。

そこには人件費がネックとなり採用を控えているところもあるかと思いますが今回はその部分の捉え方、考え方にフォーカスします。

医師事務作業補助者フル活用への考え方

結論

医師事務作業補助者の人件費は「費用」ではなく「原価」です

人件費と医業収益

原価と費用(コスト)

一般的にまず原価とは売上原価、製造原価などがあり直接のコストを指し商品の仕入れ値等になります。

一方コストとは直接、間接に関係なく必要となる費用のことを指します。

病院においては次のように定義しておきます。

原価→病院の労働生産性を上げる為に必須であるもの

費用→病院の経営効率化の為に削減しても構わないものを含む

ですので結論の部分を言い換えると、

「医師事務作業補助者の人件費は病院の労働生産性を上げる為に必須であるもの」

となります。

よって見方を変えると医師事務作業補助者を活用しないということは病院の生産性を上げるひとつの手段を失っているともいえるのです。

労働集約型産業

病院は労働集約型産業です。

労働集約型産業とは事業活動を営む上で労働力に対する依存度が高い産業のことをいいます。

一般的に従業員を数多く抱える為賃金コストの割合が高くなります。

一方、資本への依存度が高い産業は資本集約型産業といいます。

ですので病院経営の視点で見ると病院とは「ひと」が「もの」を使ってサービスを提供する労働集約型ビジネスなのです。

人件費率

労働集約型の特徴は人件費率が高いことにあります。

人件費率とは医業収益に占める人件費の割合を指します。

一般病院の人件費率は平均で50~55%です。

ケアミックス病院、療養病院、精神病院などはもっと高くなり55~60%になります。

ここで大切なことは労働集約型産業の病院が業績を回復しようとする場合は原価部門の人を増やさないといけない、ということです。

これは一般企業の経営戦略と真逆のやり方になります。

一般企業が業績を回復しようとする場合は人を減らすという手段を使います。

しかしこれを病院で行うと業績は悪化します。なぜでしょうか。

病院において医師、看護師、薬剤師、リハビリセラピスト、医師事務作業補助者などの生産部門職員は全てコスト(費用)ではなくて原価なのです。

病院の収益アップに密接に関わっているのが施設基準です。

7対1入院基本料、薬剤師病棟配置、リハビリ施設基準などを満たす為には必要な部署の人数を増やす必要があります。

しかしこれらのスタッフをコスト(費用)とみて削減してしまうとより上位の施設基準はとれなくなり、更にマンパワー不足から来る医療の質の低下も引き起こしてしまいます。

その結果人を削減している以上に収入減が大きくなり相対的に人件費が高くなって病院経営が困窮するという結果になってしまいます。

医業収益を上げる

上記の通り人件比率を下げる為に必要な人を減らしたり給与を下げるという手法は逆効果となります。

労働集約型産業で人件費率を下げたいのであれば人件費を下げるのではなく収益を上げるということに重きをおくべきなのです。

ですので1人当たりの労働生産性をいかに増やすかという点に注力しなければいけないのです。

原価部門の職員数を増やし医業収益を上げていくという方法がベストといえるのです。

医師事務作業補助者の役割

労働生産性を上げる

医師の場合でいうとこれは以前にも書きましたが「機会損失コスト」を考慮に入れる必要があるということです。

そしてそれを検討する場合になくてはならないのは医師事務作業補助者という原価なのです。

繋ぐ役割

例えば外来に医師事務作業補助者を配置し業務移行を行うと外来看護師の配置人数を減らすことも可能となり医療の効率化、看護職不足にも対応出来る場合も出て来ます。

医師事務作業補助者は医師の負担を軽減するだけではなく外来診療をはじめ、医師や他職種と患者を繋ぐチーム医療におけるコーディネーター役としての機能も担うことになります。

そして医師事務作業補助者が各種オーダー漏れの確認や患者を把握することにより診察の効率化や待ち時間の短縮にも期待出来ます。

更に看護師にとっても本来の業務に専念することが出来、全てがプラス要素として働きます。

医師事務作業補助者が医療スタッフに加わるメリットは絶大なのです。

代替性

チーム医療では代替性という考え方がとても重要です。

病院には国家資格者でしか出来ない業務というのがあります。

対して国家資格がなくても行える業務もあります。

そうなれば国家資格者はそれがなければ出来ない業務に専念し労働生産性を上げる、国家資格者でなくても可能な業務はまわりで支え行っていくというのがチーム医療というものなのです。

そしてまさにそこを担えるのが医師事務作業補助者です。

まとめ

医師事務作業補助者の人件費は費用ではなく原価ですといいました。

そして労働集約型産業の病院では戦略的に原価部門の人を増やすことが大事だともいいました。

しかしただ増やせばいいというものではありません。

ポイントは戦略的に増やすということです。

医師のどのような業務をサポートしていくのか、それによって医師の労働生産性がどれほど上がるのか。

また医師事務作業補助者という人材をどう育成していくのか、管理、教育体制をどうデザインしていくのか。

全てを見据えた上での配置、そして方針が必要です。

現在の日本の医療の水準は1人1人の医師の過重労働によって支えられているといっても過言ではありません。

ですがこれではダメだということで医師の労働環境改善、負担軽減という目的の為に医師事務作業補助者という職種が生まれました。

そして今年施行されました働き方改革関連法案ですが医師については業務の特殊性に配慮し2024年までは猶予措置がとられています。

国は猶予措置の間にどういう対策をとろうとしているのかは定かではありませんが診療報酬においては確実に医師事務作業補助体制加算をより押してくるであろうということは予測出来ます。

働き方改革の面からも病院経営の面からも医師事務作業補助者がまさしくキープレイヤーなのです。

そういう意味で医師事務作業補助者の方がより増員されていき活躍出来る場が増えていくことを期待しております。

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