厚生労働省は7月17日の中央社会保険医療協議会総会で医療機関での事務作業の負担を軽減するため2020年度の診療報酬改定で診療報酬明細書(レセプト)の記載内容をさらに合理化することなどを提案しました。
今回はこの件についてその内容を見ていきます。
目次
【診療報酬】事務の効率化・合理化は進むのか?
結論
どんどん進めるべきであり、どんどんやってほしいのです。
効率化・合理化
診療報酬に係る事務の効率化・合理化
総会では
診療報酬に係る事務の効率化・合理化及び 診療報酬の情報の利活用等を見据えた対応 について
にもとづいて効率化・合理化の提案がなされました。
現状の課題としては以下のことがあげられています。
・施設基準の届出項目や手続き等が、保険医療機関の負担となっている。重複項目の省略等、更に効率化・合理化する余地がある。
・告示や通知等の記載に曖昧な部分や合理的でない部分があり、算定可否の判断に苦慮する場合がある。
・診療報酬明細書(レセプト)には、摘要欄にフリーテキスト形式で記載するものがあり、医療従事者の負担軽減の観点から合理化する余地がある。
この中で「告示や通知等の記載が曖昧な算定要件があり、算定可否の判断に苦慮する場合がある」例として以下の例が示されています。
例1
併算定を不可とする規定に不可とする期間が(同一日・同一週・同一月)が明記されていないものがある。
例2
複数の手術を同時に行った場合、手術野ごとに所定点数を算定することができる旨が明記されているものと、されていないものがある。
この算定方法の明確化また点数表の解釈の明確化は現場サイドから見ると、
本当にどんどん進めていってほしいところです。
そもそも診療報酬点数表自体がかなり不明確に作られています。
不明確といえば語弊があるかもしれませんがとても分かりづらかったり、曖昧なままで置いてある印象が強いです。
これはかなり意図的に作っていると思います。
なぜなら査定がしやすいからです。
解釈の違いということで査定の理由づけがしやすいからです。
ですのでこれは基本的に医療機関向けに作られてはいないのです。
厚労省が厚労省向けに用意しているものと見なせてしまいます。
本来この診療報酬の算定方法というのは完全に明確にしておくべきもののはずです。
でないと審査の標準化など出来ないはずです。
そして現在は標準化とはほど遠く各都道府県での査定格差というものがはっきり出ています。
そもそもローカルルールってなんですかって話です。
そんなものがあること自体がおかしいのです。
きちんと告示、通知で明記されていれば済むところを明記もせず今まできていること自体だいぶおかしな話なのです。
今後支払基金は体制を一新し職員も削減、というように改革を行っていく
としていますが私はかなり懐疑的に見ています。
体制を変えていくことももちろん必要ですがそれよりも診療報酬の算定方法の明確化をもっと進めることがより近道なんじゃないかと思います。
診療報酬明細書の合理化について
・レセプトについては、診療行為名称や点数、算定回数などの基本的事項の記載を必須としているが、基本的事項の他に、摘要欄にフリーテキスト形式での記載する項目があり、請求の都度、記入しなければならないこととされている。
・平成30年度診療報酬改定においては、留意事項通知等で算定可能な場合は明治されているものについて、該当するものを選択して記載するこことするなどの見直しを行ったが、更に合理化する余地があるのではないか。
上記については全くその通りです。
フリーテキスト形式はどんどんなくしていくべきです。
ここがなくなるだけでも事務の負担はかなり軽減されます。
まとめ
今回取り上げませんでしたが施設基準等の事務に関わる効率化・合理化もかなりの負担軽減になります。
事務部門の業務は電子化されてきたことによりかなりの効率化・合理化がなされてきているという印象はありますがその余地はまだまだ残されています。
今後も厚労省は出来るところまで効率化を突き詰めていってほしいと思います。
本当に医療費削減、ムダをなくしていきたいと国が考えているのならばあいまいな解釈を盾に査定を行い診療報酬を削っていくことは本筋じゃないはずです。
結局そのしわ寄せは患者や医療機関に及ぶのです。
何の為の診療報酬なのか、誰の為の診療報酬なのかということを忘れないで頂きたいです。
その延長線上に今回の事務の効率化・合理化案があるのであれば出来るところまで突き進んでほしいと思います。