新人教育のコツということで以前に記事を書きました。⇒新人教育には何が必要?【新人教育のコツとは】その①
その中での結論としては
新人教育のコツとは「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」の実践による新人の自己効力感向上と教育係のメタ認知力向上の2点です。
としました。今回はその続きとして教育係のメタ認知力向上について述べていきます。
ごまお
目次
新人教育には何が必要?【新人教育のコツとは】その②
結論
うまく教えるコツとは「いかに相手の特性に合わせて教えられるか」ということです。
教え方
指導能力
医療事務は配属される部署にもよりますが総じて業務が煩雑です。
覚えることはたくさんあります。
そして新人に教育しようとする場合教えることが山ほどあり短期間で全てを教え込むなんてことは不可能です。
それこそ長期的なスパンで計画を立てて育てていくしかありません。
そしてこのとき重要なのが教育係の指導能力です。
ですがそもそもこの指導能力というのが他者からみて非常に分かりづらいのです。
なぜなら教え方に決まった型などないからです。
そして教育係自身が教え方を教わったことがありません。
全て自分の経験と思考による教え方になります。
ですので誰しも教え方など知らないのです。
そしてこれだと指導能力が高いのか低いのかなんて他者はもちろん本人さえも分かっていない状態となってしまいます。
ごまお
主観は危険
以前の記事ではこう書きました。
自分でやれば10分でできる内容でも新人にとっては30分かかることなんてザラにあります。
この時に遅いし間違っていると今の自分と比較することには何の意味もありません。
よく考えれば分かるはずなんです。
自分が新人だった頃を思い返せば分かるはずなんです。
ですが今の自分基準で考えものごとをとらえている人ってかなり多いです。
つまり新人目線でものごとを見れていない人ってことです。
全てはここへ帰結します。
つまり教えるとは相手の立場に立つということです。
主観は単なるひとりよがりにすぎません。それは排除すべきです。
特性に合わせる
2パターンを知ろう
主観はダメだとは前述したとおりです。
以前の記事ではこうも書きました。
全体像、目的、背景などの説明は足りていたか、理解度を随時確認しながら進めているか、一緒に行わず説明だけになっていないか。
ここで1つ矛盾することがでてきます。
それは主観はダメと言っておきながら上記のことを述べているということです。
上記の内容は教える側としては当然振りかえり見直す点ではあります。
全体像を説明した上でひとつひとつの流れにのっとって教えられているかというのは当然チェックすべき事項だと私達ベテランは思っています。
ですがそれこそが主観です。
新人の立場には決して立ってはいないのです。
いやいやそこは普通そうでしょ、常識でしょと思っている人もいるかとは思いますがそうではありません。
そこには知っておかないといけないことがあります。
それは新人には2パターンあるということです。
それは何かというと、ものごとを教わる場合に「線から点を知る新人」と「点から線を知る新人」の2つに分かれるということです。
線から点を知る新人
私的にはこちらが一般的で多数派だと思っています。
全体の流れを知った上でひとつひとつの細部を理解していくタイプです。
このタイプの特徴
・とにかく情報はあるだけほしい
・全体像の把握をしたい
・説明不足は嫌
・足りない部分は調べる
・理由がないと理解や納得がしにくい
ごまお
点から線を知る新人
実はこちらの方が多数派らしい模様。
目の前のするべきことをシンプルに知りたいというタイプです。
このタイプの特徴
・とにかく要点を伝えてほしい
・点を集めて全体を把握したい
・全体の流れや今関係ないところの説明は回りくどく感じる
・理由はあとでいい
ごまお
新人の特性を見極める
この2つのパターンはどちらが良い、悪いという話ではありません。
これは入り口の問題です。
医療事務が何たるかを知り仕事の本質が分かってくればいずれは全体→細部という把握の方法を誰しも身につけていくと思います。
これは完全に慣れの問題なのですがそもそも新人に慣れの問題は存在しないので最初の覚え方だけでいうと2パターンに分かれるということです。
ここで理解しておくことは「線から点を知る新人」は説明が足りない人がイヤ、「点から線を知る新人」は説明がくどい人がイヤということです。
まとめ
うまく教えるコツとは「いかに相手の特性に合わせて教えられるか」ということです。
つまりどれだけ新人目線になれるかということです。
どうもかみ合わない、やる気あるの?と思う前にひとまず相手の特性に合った教え方ができているかということを自己点検してみることが大切です。
また新人目線ということでもう1つ言っておくと教育係から新人側に近づく気持ちも大切です。
分からないこと、困ったことをすぐに聞いてもらう環境を作るためには目線の高さをそろえることが必要です。
その為に特に有効なのは失敗談や苦労体験を話してみることです。
教わる側にとって教える人は雲の上のような存在なのです。
その人の失敗談や苦労体験を聞くことで親近感がわき相談がしやすくなります。
このような話をすると「そこまでする必要あるの?」「ちょっと甘やかしすぎじゃない」という人も中にはいます。
ですがそういう人こそ主観でしかものごとが見えていません。
自分の新人時代と比べての発言だとは思いますが時代が流れ価値観が変わっていることに気がついていません。
医療事務はこの先10年で業務内容が劇的に変化していくものと予想されます。
AI・ICT化が加速していき保険請求のスタイルも変化していく中で次世代の人材を育てていくことは現職の私達に課せられている任務です。
どの世界にも世代交代は必ず来ます。
医事課もしかりです。
その遠くない未来を見すえつつ今確実に新人を育成していくことが将来の医事課の発展につながります。
「今の若い子は…」と言ったところで何も変わりません。
だったらどうしたら彼ら彼女らが動いてくれるのか、モチベーションを高めてくれるのか、そういうことを考えていった方がよっぽど医事課のためになります。
新人教育で学ぶことが多いのは私達の方なのかもしれません。
ごまお