以前にあなたの話は伝わっていますか?という記事を書きました。

その記事を要約すると
1.メンタルモデルに配慮した話し方が重要
2.相手の頭の中を想像して話す
3.話している自分と相手を俯瞰で見る
ということで、伝えるということの本質は相手に動いてもらうこと。
大切なのは伝えるではなく伝わること、ということでした。
ですがそう書いた私自身もときに「伝わらないなあ」「ちゃんと言ったつもりなんだけど」ということが起こります。
今回はコミュニケーション能力ってどうやったら上がるの?というところにフォーカスしていきます。
ごまお
目次
本当のポイントはコレ!コミュニケーションスキルってどう上げる?
結論
相手の受けとめ方に応じた伝え方をすることが大切です。
コミュニケーション
伝えるということ
コミュニケーション手段といえば話すということが真っ先に思い浮かびます。
そしてえてして私たちは丁寧に話すとか分かりやすく話すということを心掛ければ伝わるもんだと思っています。
しかしそこには大きな誤解があります。
どんなに丁寧に話しても、詳しく話してもそのまま伝わることなんてまずありません。
そもそも本当に伝わっているのかどうかなんて受け手側でしか分からないことであってそれを「はい、分かりました」という返事だけでこちらが勝手に伝わったと思っているにすぎません。
ここで注意すべきなのは話し方や話の内容などではなくて、相手の受けとめ方がどうなのかということです。
もっといえば相手が理解するしくみや反応、感度を察知するように努めるということです。
「私はこういうつもりで言ったのに間違った認識をされた」とか「半分も伝わっていなかった」というのはこの理解するしくみや感度が自分とかけ離れているから起こることなのです。
以前にも紹介しましたが「伝え方が9割」佐々木圭一著 の中では次のような伝えることの基本ルールが示されています。
<基本ルール>
1.自分の頭の中をそのままコトバにしない
2.相手の頭の中を想像する
3.相手のメリットと一致するお願いをつくる
これが基本とされています。
これはこのとおりだと思いますがこれよりもっと前の段階があります。
そしてそれこそが核心なんじゃないかと思うのです。
相手を知ること
まずは相手に関心を持つことが大前提なんだと思います。
相手の頭の中を想像するだとか相手のメリットと一致するお願いをつくるなんてことも、そもそも相手に関心を持たないことには始まりません。
結局人って自分大好きなわけでやっぱり何事も自分中心で考えてしまいがちになります。
そしてそうなると「こういうつもりで言ったのに」ということが増えてくるのです。
以前にも書きましたが受け手の立場を想像するということが必要です。
そしてそのためにはその人がどういう人なのかということを知ることが大事です。
つまり相手の受け止め方を想像した上でそれに合わせた伝え方を選択する必要があるのです。
ですが多くの場合どうやったら伝わるかということに関してのレクチャーは話し方や表現方法に終始します。
どう発信すべきか論にかたよっています。
ですがもっと学ぶべきは受け手の感度を察知する能力の鍛え方なのです。
どう発信すべきか論にかたよるとどの相手に対しても同じ伝え方になります。
あとはもう話し方のテクニックの問題になります。
しかしそれでは伝わらない人が出てくるのは皆さんも経験上よく分かっていることだと思います。
どんなに丁寧に話しても、どんなに情熱的に話しても伝わらない人には伝わりません。
それは自分とは受信のメカニズムがまったく違うからです。
自分の価値観、感度とズレている人にはその人のための伝え方を選択しないとその人には理解されないのです。
これは新人教育の場合も同様です。
自分の感覚で伝えようとすると必ず上手く伝わりません。
そして上手く伝わっていない原因は受け手にあると思ってしまいます。
それではいけないのです。
相手がどんな人なのか、どれくらいの感度なのかということを探った上でそれに合わせて話を進めていかないといけないのです。
そのための前提は相手に関心を持つということなのです。
分かりやすいって何?
でもどんなにこちらが相手に関心を持ち、相手の受け止め方をおもんばかった上で言葉を選んで伝えてもそれが100%伝わることなんかまあないわけです。
というか8割、9割伝わる人ってそうそういないと思いませんか。
まあ7割くらいで良しとしとくのが一般的じゃないでしょうか。
それくらい伝えるのって難しいのです。
これは相手の受け止め方のメカニズムを考えた上で言葉を選んだ上であってもなのです。
ですので「そんな相手がどう受け取ろうが知ったこっちゃねえ」と誰に対しても同じような伝え方をしてしまうと伝わり方はそれこそ人それぞれ、個人独自の解釈が乱立することになるわけです。
ですのでここで分かっておかないといけないことは、自分のアタマの中と他人のアタマの中はまったくの別物だということです。
何を当たり前のことを、と思われるかもしれません。
ですが実際は大部分の人がその当たり前のことを理解していないのです。
だから「ちゃんと言っておいたのに」とか「丁寧に説明したんだけどなあ」となるのです。
問題はいかに表現し伝えるかではなく、相手がそれを聞いてどう感じ理解する人間かを知ることにあります。
なのでコミュニケーションって難しいのです。
伝えるスキルをいくら身につけてもそれでコミュニケーション能力が上がっていると感じているのは自分だけなのです。
以前にこんなことがありました。
ベテランAさんが新人Bさんに公費について説明しました。
公費って医療事務では理解するのが難しいとされるもののひとつです。
Aさんもそれは重々承知していて”かなり分かりやすく”時間をかけて説明したそうです。
ですがそれを聞いたBさんはほとんど理解できていないということが後日判明します。
Aさんは「あんなに時間をかけて分かりやすく丁寧に説明したのに」とそれなりにショックを受けていました。
これを聞くとありがちな話だなと思うかもしれませんが、この場合の問題点ってどこにあるのでしょうか?
それはAさんにあります。
それもその説明の仕方とかそういうレベルではなくて、Aさんが自分に問題があるってことに気づいていないことが問題なのです。
「分かりやすく丁寧に説明した」とはAさん自身の感想です。
それはBさんの感想ではない。
何をもって分かりやすいと判断するのか。
それはもう主観でしかないわけです。
分かりやすいとは自分にとって分かりやすいというだけです。
今の自分のキャリア、スキルがある上で聞けば確かに分かりやすいのかもしれません。
ですがそれをそのまま新人にも当てはめようとしているところがおかしいのです。
そこには相手の受信のメカニズムを理解しようとする姿勢がみじんもないのです。
新人教育にはえてしてこのパターンが見受けられます。
分かりやすいとは相手にとって分かりやすくなくてはいけません。
自分視点で語っているようではまだ教える、伝えるというところには達していないのです。
まとめ
自分の職場という閉鎖的な村で働いているとこう言えばこう、こう言われればそれはこのこと、というようにコミュニケーションが素早くできるという利点はあります。
これは周りもある程度同じ認識、同じような普通、あたり前のレベルラインを持っているからこそ成り立つことです。
ですがここが諸刃の剣なのです。
そのような状況では相手の受信メカニズムを深く考えるというクセがつかなくなります。
いわゆる我が医事課が世間一般の医事課の常識であるみたいな勘違いをしやすくなるのです。
ですので今自分が使っているコミュニケーションスキルで通じると思ってしまう。
いやいやそれはあくまで自分の職場だからなんですよということに気づけない。
前にも書きましたが井の中の蛙ってことです。

これを避けるポイントは次の2点です。
・相手の受けとめ方に応じた伝え方を常に考える
・広い視野を持ち、外界へどんどん出ていく
他病院の医事課との勉強会や情報交換会を持つだとか外部研修には積極的に参加するという姿勢にするだけでもコミュニケーション能力は向上していきます。
それはそのことで自分の力が分かるからです。
価値観が違う相手に対してどうすれば伝わるかをよく考えるようになるからです。
さまざまな人と関わることで人はどんどん成長します。
自院の医事課のスケールに収まらない器の大きな医療事務員を目指しましょう。
ごまお