職員のエンゲージメントをいかに高めていくのか?


それはつねに医療機関、医事課に課せられているミッションです。
今回はそのエンゲージメントと密接に関わっている権限委譲について見ていきます。
目次
あなたの上司は本当に権限委譲しようとしているのか?
結論
自分に自信がない上司は本気で権限委譲なんてしません。
権限委譲
まず「権限委譲」の意味を確認しておきます。
権限委譲とは、上位の者が下位の者へ自身の権限を譲ることをいいます。
それぞれの役職には変更がないため、部下の仕事の最終責任はそれまでどおり上司が負います。
これとまぎらわしいのが「権限移譲」です。
これは対等な立場の他者へ自身の権限を譲渡することであり、責任も含めてそのままスライドします。
そして今回指しているのは「権限委譲」の方です。
相手に委ねて譲る、その権限委譲です。
負のスパイラル
権限委譲は大事なことだとどんな上司でも思っているものですが、実際はそれほどスムーズに行われているものではありません。
というより権限委譲が全然行われていないケースもあります。
その場合は次のようになります。
自分が忙しい
↓
権限委譲ができない
↓
部下が育たない
↓
仕事ができるのは自分ただ一人
↓
だから自分が忙しい
これは完全な負のスパイラルに入っています。
これを打ち破る方法はたった1つしかありません。
忙しい中でも無理矢理、権限委譲する。
こうすると一時的にはとんでもない業務量になるかもしれませんが、長期的に見れば好ましい職場の体制となります。
というかどこの職場もそういう体制を目指さなければいけません。
なぜなら権限委譲できていない職場というのは、上司が抜けちゃうとどうにも回らなくなる職場だからです。
それを避けるために、また部下のエンゲージメントを高めるために権限委譲はどんどん進めるべきだという論調は主流なのですが、現実はそんなには権限委譲は進んでいません。
それはなぜなのでしょうか。
権限委譲をしたくない上司
なぜ権限委譲が進まないのか?
それは権限委譲ができないのではなくて、権限委譲しないからです。
つまり、わざと権限委譲しない上司がいるということです。
なぜそんなことをするのか?
それは自分の存在価値を示すためです。
違う言い方をすれば、自分の存在価値を消さないためです。
これはこういう考え方をしている時点で管理職としては失格なのですが、そんな人たちは意外に多いと思います。
そもそもプレイヤーとマネージャーの仕事内容は完全に別物なので、管理職が現場の仕事に執着すること自体何の意味もないのですが、必死に現場にしがみつくマネージャー、権限委譲しないマネージャーって結構いるものです。
そういう僕自身がそうかもしれませんが。
なぜ現場にしがみつくのか、権限委譲しないのか。
その理由をひとことでいえば「自分に自信がないから」です。
だから結局仕事が忙しくて権限委譲できない上司のほとんどはそれを自覚してやっています。
権限委譲できない風を装いつつ、権限委譲したくない、ただそれだけです。
仕事が忙しいなんていいわけです。
作る気さえあれば時間は作り出せる。
でもそれをしてないだけです。
それはある種の保身です。
そして自分への安心。
僕から見ればそんなことはとてもしょーもないことにしか映らないのですが、そこに注力する人がいることも事実なのです。
信じたくはないですが、権限委譲したくない上司って結構多いのです。
まとめ
部下が育たないと嘆いているその上司がまったく権限委譲しようとしていないなんてことは笑い話ではなく、現実に起こっていることです。
そんな上司にはそもそも権限委譲という概念すらないのかもしれません。
自分の仕事をブラックボックス化して「忙しい、大変だ」と自分しかできないように見せ、存在感と自分の立場を守っている管理職ってあなたの周りにはいませんか?
最後は現場の仕事を巻き取って、全部自分でやっちゃうような上司、先輩はいませんか?
そんな人はみんな自己保身のかたまりです。
自分の能力に自信を持てない人です。
自分がいなくなったらこの職場は回らなくなる、そんなところにすがっている人です。
だったら権限委譲なんてするはずがないのです。
いつまでたっても部下が育たない。
それは当たり前の話なのです。