今回は自戒の念を込めて書いていきます。
社会においてお山の大将という言葉があります。
また裸の王様という言葉もあります。
人は年齢や経験を重ねるといつしか自分は偉くなったんだと勘違いする場合があります。
しかしそう思っているのは自分だけで、周りはそうは思っていないということはよくあることです。
このとき必要なのは自らを俯瞰でとらえる能力です。
そしてそのためには他者からのフィードバックが必要不可欠です。
今回はこのフィードバックについて述べていきます。
ごまお
目次
【正解は何?】フィードバックっていつまで必要?【医療事務仕事論】
結論
どんなに年齢や経験を積んでも他者からのフィードバックはいつまでも必要です。
減っていくフィードバック
まずフィードバックの定義をしておきます。
今回使うフィードバックという言葉の意味は
・自分の行動や現状のあり方を指摘された上で自己修正ができる状態
・他者視点により現状を俯瞰してとらえられる状態
としておきます。
ですので自分にとっては聞くのがつらいこと、耳の痛いことも何もかも含めて知らされる状態、その結果自分を客観的に見れて行動の修正が効く状態ををフィードバックがある状態とします。
そうした場合皆さんの現状は密にフィードバックがある状態でしょうか。
これはその人の今のポジションによってかなり変わってくると思います。
新人の人は頻繁にフィードバックがあるでしょう。
中堅の人も一定のスパンで上司からフィードバックはもらえているはずです。
しかし危ないのは次の人です。
・ベテラン
・管理職
つまり年齢や経験を重ねた人です。
これを見てベテランでも上司がいるんだからフィードバックはもらえるんじゃないのか?という疑問があるかもしれません。
確かに上司からフィードバックはもらえるはずです。
ですがここで問題なのはベテラン自身がそれをフィードバックととらえない場合がでてくるということです。
以前に医療事務員の思考停止という記事を書きました。

その中でありがちなパターンとして次の流れを書きました。
希望→絶望→慣れとあきらめ→思考停止→モチベ低い、エンゲージメント低い
このパターンにはまっているベテラン医療事務員って結構いると思うのです。
そして慣れとあきらめにより思考停止となったベテランにとってはもはやフィードバックを受けるという考えがないのです。
まして長年の経験によりその医事課内では他の誰よりも知識がある状態やノウハウがある状態であり、それを自覚している人にとっては「何のフィードバックをもらえっていうの?」という思考になりがちなのです。
それも上司ならまだしも、自分より未熟な他者から受ける助言なんてあるはずがない、そもそもそんなこと言ってくる人なんかいないという想いで脳みそは支配されているのです。
ですので一切のフィードバックがない状態です。
そしてその状態が続くと自分を客観視することなど、もはや不可能で自覚がないままにお山の大将へと突き進むのです。
いわゆるお局様と言われる人はどんな職場でも生まれるものです。
そのお局様の何が悪いのかというと、このフィードバックが機能不全となっていることだと思うのです。
そしてこの機能不全の原因には2パターンあります。
1.今さら指摘されることなんてないし、他者から教えてもらうことなんて何もないと思い込んでいるマインド
2.長年の経験によりフィードバック慣れしてしまい、自分ごととして深く受けとめられないマインド
この2つのマインドが合わさると主観的にはほぼ無敵で、唯我独尊、我が道を行くという人になってしまいます。
そして周りはそんなめんどくさい人に対してあえて物言うことなんかしなくなり、結果孤立していくことになります。
この場合は自分的にはお山の大将で周りからは裸の王様となっているのです。
これは何もお局様だけに限ったことではありません。
レセプトや他の業務のなんでも、この医事課で自分が一番知っているという自覚を持ったとたんに良いフィードバックをもらうことは難しくなるのです。
これはどうしてもそうなる運命にあります。
知識やスキルを積み重ねれば重ねるほど、フィードバックを受ける側から与える側へとポジションが移動していくのです。
これは避けられないことなのです。
ですので働く年数が長くなるにつれてフィードバックは減っていくものなのです。
フィードバックがなくなる管理職
上記のことが一番当てはまるのが管理職です。
組織の階段を上れば上るほど、自分の考えや仕事ぶりついて建設的な意見、評価をもらえる可能性は低くなっていきます。
上司の気分を害することは誰だって言いたくありません。
そして明確な上下関係がある中であえて下から上へ物申そうなんて考えは持たないものです。
そうすると上司は
「自分の考えは間違っているはずがない」
「周りも自分の意見に賛同している」
という勘違い、ひとりよがりモードに入ってしまうのです。
そしてこれの怖いところは、上司本人はそれをひとりよがりとはいつまでたっても気づかない、ということです。
そして気づかせてくれる人もまたいない、ということです。
こうなると管理職としての成長はもうないのです。
他者評価を自分ごととして受けとめられないのはおろか、それすらない状態というのは自己修正できる機会がやってこないということなのです。
つまり自分の欠点は欠点のまま、良い点もそれまでのレベルのままということになります。
以前にピーターの法則に書いたことがあります。

ピーターの法則
1.能力主義の階層社会では、人間は能力の極限まで出世する。
したがって、有能な平(ひら)構成員は、無能な中間管理職になる。
2.時が経つにつれて、人間はみな出世していく。
無能な平構成員は、そのまま平構成員の地位に落ち着く。
また、有能な平構成員は無能な中間管理職の地位に落ち着く。
その結果、各階層は、無能な人間で埋め尽くされる。
3.その組織の仕事は、まだ出世の余地のある人間によって遂行される。
ウィキペディア 引用
これはつまり「役職や階級のある組織では各階層メンバー全員がいずれは無能で埋め尽くされることになる」という法則です。
このピーターの法則でいう無能な中間管理職がまさにフィードバックを受けない管理職なのではないかと思うのです。
他者評価がないままに新たに学習することもなく、そして俯瞰することもできない上司が無能な中間管理職に落ち着いていくのだと思います。
年齢や経験が蓄積されればフィードバックからうとくなる。
これはまぎれもない事実なのです。
まとめ
今回はすべてにおいて抽象的な話でわかりにくかったかもしれません。
ですが冒頭にも述べたとおり自戒の念を込めて書きました。
フィードバックって言葉の響きはいいかもしれませんが、決して気分がいいものではありません。
耳の痛いことでも自分ごととして一旦すべて受けとめるのは結構ストレスとなるものです。
できればそんなことは聞きたくない、誰だってそうです。
特に上の立場になればなるほど自分の仕事への自信やプライドもそれ相応にあるので、他者からの批判には余計に反論したくなるものです。
そしてそんなマインドであれば一切のフィードバックは効かなくなる。
結局、いかに自分と向き合えるかなのです。
プライドをどこまで捨てきれるかなのです。

フィードバックし合える職場ってすばらしいと思います。
でもそんな職場ってそれほど多くないと思います。
多いのは上司から部下へのフィードバック。
それもそれはホントにフィードバックなのか。
単なるダメ出しをフィードバックと勘違いしている可能性だってあります。
まして部下から上司へのフィードバックなんて皆無に等しい。
ホントに危惧しないといけないのは、このこと自体を特に気にもとめず普段仕事に向かっているということです。
それはすなわち医事課のフィードバックが効かない状態であり、また自部署を客観視する機会を失っている状態です。
そうならないためにはまずは上司こそがフィードバックを受ける意識が必要なのでしょう。
年齢や経験を重ねたからこそフィードバックを必要とする状況がそこにはあるのだと思います。
ごまお