以前に医療事務は経験者有利ではないという記事を書きました。

要は前職の経験を活かすも殺すもあなたのマインドセットしだい、という話です。
そして多くの人はその前職の経験にとらわれてしまいます。
今回はそのあたりを深掘りしていきます。
ごまお
目次
なぜ今と同じ仕事内容を選択するほど転職先ではつまづくのか?
結論
そのまま使える知識、スキル、仕事観と新たに得るべき知識、スキル、仕事観の取捨選択が重要です。
母数1の世界
私は医療事務歴は20年余りありますが、転職を経験しています。
ですので現在所属する医事課だけしか知らないというわけではありません。
さらに立場上、他の医事課の方と話をする機会も割と多いですので自院のやり方がすべてという見方、理解は一切していません。
むしろ自院のここは良い点、悪い点という他院との比較検証はよく行っています。
そうすることによって自院の状況というものをはっきりとらえられますし、視野も広がります。
ですので自院で起こっている問題がホントに早急に対処すべき医事的問題なのか、それとも自院特有の院内マインドセットによるものなのかという選別も可能になります。
情報はあればあるだけいいというわけではありませんが、少なくとも自院以外の医事課を知っておくことはメリットしかありません。
しかしこんな上から目線で述べている私ですが、これってポジショントークでしょって言われればそうなのかもしれません。
仮に管理職でなかったらそんな見方はしていたのか。
それは恐らくNoです。
そして転職も経験していなければ、それこそ自分の所属する医事課がすべてとなっていたはずです。
現に昔の私はそうでした。
一担当者だと自分で取りにいかない限り一切外部の情報というのは入ってきません。
そして一担当者で自主的に情報を取りに行くような人はほとんどいません。
というかそんなヒマはないし、そんな意識もありません。
ですので上司から外部研修や病院見学に行ってきてという指示がない限り自院から出ることは一切ありません。
そして外の情報にふれるという機会はまったく訪れません。
つまり、いつまでたってもサンプル数1なのです。
自分が出す答え、結論のすべてが一分の一(1/1)で出しているものなのです。
永遠に母数1の世界。
それが多くの医療事務員が所属している世界です。
医事課が違えば仕事が違う
医療事務の転職においてよく起こる問題が「経験者なのに即戦力にならない」ということです。
これは私から言わせれば「経験者だからこそ即戦力にならない」となります。
ここには大きな誤解があります。
同じ医療事務の仕事だから、病院が変わっても仕事内容は同じなはずとの誤解です。
これはとても思いがちです。
前の病院ではクラークだったので今度もクラークで、外レセ担当だったから外レセ担当へ、入院係だったから入院係へ。
それはあたかも前職でつちかったものをそのまま水平展開すれば、上手くいくように思ってしまいます。
これは半分が正解で半分が間違いです。
同じ業務であれば基本的な骨子は同じです。
ですのでそこは前職の知識、スキル、経験は活かされます。
ですがその病院での運用方法、医事課の仕事のやり方というのは千差万別です。
まったく同じところなんてありません。
「そんなことはわかっている」という人がいるかもしれません。
ですがわかっていないのです。
前職と同じと見ている時点で、誤ったマインドセットが組み込まれているのです。
本来転職した際には、前職で得た知識、スキル、仕事観の中からそのまま使えるものと、そうでないものとの分別が必要です。
つまり今回役に立たない知識やスキルは捨ててしまわないといけないのです。
しかし大部分の人はこれができません。
なぜなら使えると思っているから。
自分のアドバンテージになると思っているから。
しかしそれがかえって自分の成長を阻害している。
それがわからない、気づけない。
これはすべて同じ業務だから同じことをやればいい、という見方をしているからこそ起こる問題です。
医事課が違えば業務の中身も違うということをきちんと認識しておく必要があります。
そして医事課の即戦力になるには骨子よりもその点の方が大事なのです。
郷に入りては郷に従えの言葉どおり、まずはそこの医事課でのルール、仕事観というものを把握しないといけないのです。
それなりに経験を積んできた人こそそこがネックとなります。
「以前の職場ではこうしていました」
「こうするのが普通なんじゃないですか」
そういう発言をしてしまいます。
そこには新たに学び直すという姿勢は一切ありません。
サンプル数1から導き出した自分に染みついている仕事のやり方、マインドセットから抜けられない。
もうそこは変わらないのです。
ですので面接時即戦力だなって思った人でも、全然即戦力ではないという場合も出てきます。
それはスキルが高い、低いじゃないのです。
マインドセットに起因するのです。
そして面接ではそんなことはわかりません。
以前にも述べましたがここが一番「経験者は有利じゃない」と私が感じる部分です。
そんな経験者なら新人の方がよっぽどいい。
そして新人であっても素直さがあればどんどん成長できる。

すべては仕事への姿勢です。
役に立たないものは捨てれるか、新たに学びなおせるか、そこができるか、できないかだけです。
だから経験者、未経験者の問題ではないのです。
「今と同じ業務内容だから大丈夫」じゃないのです。
むしろその選び方は危ないぞと思えることが大切です。
まとめ
これからの時代転職はごく当たり前となっていきます。
そして今ですら転職しようと考えている医療事務員は数多くいるはずです。
転職に関しては私は肯定派です。
どんどんすればいいと思います。
ただし心理対比は必ず行ってください。

そしてもし転職するのであれば、必ずチャレンジする姿勢でのぞんでください。
現状維持のマインドで同じ業務内容を選択すると恐らくつまづきます。
それでは新しく学べないので環境に上手く適応できない。
そして何より自身の成長がありません。
成長しなくても別にいいという人もいるかもしれませんが、それでは何のために転職するのですか?
現状がイヤで逃げる転職なら辞めておいた方がいい。
なぜならマインドセットが同じだから。
それは職場を変えても何も解決しない。
今の職場は全然ジョブローテーションしないし、ここ数年ずっと同じ仕事内容とか、もっとステップアップしていきたいという人でないと転職は上手くいきません。
そしてそのような人はぜひ挑戦できる転職を目指してください。
外レセ担当だった人は入院担当へ、入院担当だった人は経営管理へというように今の自分より一段上のクラスをぜひ目指してほしいです。
こうは言っても実際のところベテランになればなるほど転職をしようとは思いません。
いまさら新たな職場で新しいことなんて覚えられないし、覚えたくもないと思っている人が大半です。
ですがその人たちも認識していてほしいのです。
同じ仕事内容を選択してつまづく人とあなたは本質的には同じなんだということを。
結局、ちょっと言い方がよろしくないとは思いますが、仕事をなめているんです。
病院は未来永劫残り続け、医療事務という仕事も残り続け、自分の席も残り続ける。
医事課の成果が上がろうとも下がろうとも自分の給料は変わらない。
自分は医療事務員として安泰だと。
もう何度も言っていますがそんな時代は終わります。
医療事務員として安泰な時代など来ません。
少なくとも自主的に動かない限りは。
上ばかり目指して、プライベートも削って仕事につぎ込めという気はさらさらありません。
ただ、もう少し危機感は持った方がいいと思います。
10年後も医療事務で食っていきたいのであればですが。
ごまお