医療事務の仕事については昔から言われ続けていることがあります。
それは
医療事務の就職には資格取得が有利、転職には経験者が有利
ということです。
ですがそんなのは嘘っぱちのデタラメ。
というかそもそもその視点がズレています。
今回はこのことについて話していきます。
目次
【医療事務のウソ】就職には資格が有利、転職には経験が有利
結論
大事なのは入る前じゃなくて、入ったあと、です。
医療事務の資格
医療事務資格のいる、いらない問題については当ブログ上ではすでに結論は出ています。
簡単にまとめると
・医療事務○○やメディカル△△などのいわゆる医療事務資格はいらない
・診療報酬請求事務能力定試験もいらない
・診療情報管理士・医療情報技師・医療経営士・施設基準管理士などは取っておいた方がいい
・学士は取っておいた方がいい
となります。
その理由は過去記事をご覧ください。




僕としてはもう医療事務の資格問題について言うことは何もなく、もう記事にすることもないと思っていました。
ですがいまだに医療事務での資格信仰というのは根強く、またそれを強調したりあおったりする記事も散見します。
ですので今一度そこへの反対意見を書いておきます。
目的と手段
「目的」と「手段」。
今回の話を進めていくと結局ここに行き着きます。
そして多くの人はその目的と手段がすりかわっているのではないか、と思うのです。
つまり、一般的に医療事務資格と呼ばれているものの取得とはあくまで手段にすぎない、ということです。
何の手段かといえば、医療事務という仕事を理解するための手段です。
ですが、
医療事務を未経験で始めるにあたり、無資格・資格なしでは難しい。
こういった文脈の企業サイトやブログがいまだに多いです。
この場合の主張していることとは次のとおりです。
①医療事務の仕事に就くには、さまざまな専門知識が必要
②実務で覚えていってもいいが、基礎知識がないと厳しいし大変
③だから資格を取得した上で就職する方が良い
このうちの①②については僕も完全同意です。
ですがだからといってなぜ③の結論になるのかがわかりません。
これはそもそも「医療事務を未経験で始めるにあたり、無資格・資格なしでは難しい。」という文脈がおかしいのです。
本来これは「医療事務を未経験で始めるにあたり、基礎知識がないと難しい。」と言うべきなのです。
だから、「それを補うために医療事務の学習を行うべきです」という文脈にならないとおかしいのです。
ここで必要なのはあくまで医療事務の学習であって、医療事務の資格ではないのです。
でもなぜがその人たちの結論はすべて「資格取得を目指せ」となっているのです。
僕は別に資格取得を目指すことがダメと言ってるのではありません。
資格取得はあくまで手段にすぎなくて目的ではないんだよ、ということが言いたいのです。
大事なのは学習した内容、そのプロセスであって、紙1枚の資格証には何の意味もないってことです。
ですが企業サイトやブログはとことん資格取得をすすめます。
未経験者ならまずは資格を持っていないと話にならないと言わんばかりにあおってきます。
ですがそれは完全に資格ビジネスです。
集客するためにあおっているにすぎません。

本来資格の価値とは、有資格者と無資格者の間に明確な差がある場合をいいます。
たとえば、その資格がないとできない業務であるとか、資格自体がその人の能力証明になるとかです。
またあるいは、人数が制約されていてたやすくは取得できないとかもです。
それらの場合、資格取得者にはそれ相応の価値があり、他者との明確な線引きがされています。
本来資格とはそういうものです。
ですが医療事務資格にはそれがない。
その資格がないと仕事ができない?
資格がその人の能力証明となる?
たやすく取得できない?
すべてNOです。
だから資格ビジネスなんです。
資格取得を目指してもらって得をするのは、その認定団体と学習講座を持っている企業だけです。
資格取得したその人自身には何の得もありません。
「いやいや、勉強して知識が身についたんだから得ありまくりじゃん」
そう思う人がほとんどだと思います。
だからこそなんです。
勉強して知識が身につくことが得だというならば、何も資格なんていらないのです。
必要なのはその学習プロセスです。
基礎知識を身につけようと頑張ったその時間に意味があるのです。
まったく社会的に評価もされていない医療事務の民間資格をわざわざ取る必要はないってことです。
そしてその資格取得を手段じゃなくて目的に置いてしまった瞬間に、あなたの伸びしろはなくなるのです。
入ったあと
資格取得を目的にすることでなぜ伸びしろがなくなるのか?
それは「就職には資格が有利、転職には経験が有利」と多くの人が思っているからです。
これでいくと、医療事務の仕事に就くまでは勉強して、仕事に就いたあとは経験を積んでいけばいい、となってしまいます。
そして現にそう認識している人がマジョリティです。
転職には医療事務経験者が有利だと本気で思っている。
でもそんなのはウソです。


自分が所属している組織でだけの経験なんて外の世界では一切通用しません。
まさしく「井の中の蛙大海を知らず」となる可能性大です。
そしてそんな閉鎖的ななれ合いの村社会で自己研鑽も積まずぬくぬく育ってきた人には、伸びしろなんかあるはずがないのです。
多くの人が犯している過ちがここにあります。
なぜ仕事に就く前はそれなりに勉強したのに、入ったあとは一切しないのか。
なぜ経験さえ積めばやっていけると思っているのか。
もちろん経験を積んでいくことは大切です。
しかしそれは新たな学び、気づきがあってこそ活かされていくものです。
今までの経験だけでこの先の問題も解決していこうとするのならば、もう成長する余地なんてどこにもないのです。
これは新人だろうが中堅だろうがベテランだろうがみんな同じこと。
新しい学び、新しい情報を自分から取りにいけないような人では、将来的に医療事務員としてやっていくのは難しいです。
まして経験者だから大丈夫って思っている人にあってはもう論外です。
まとめ
「医療事務の就職には資格取得が有利、転職には経験者が有利」
そう思っている人がいるのであれば、それは間違いですので思い改めてください。
そしてどれだけ経験を積んでも勉強し続けることはマストです。
診療報酬改定の時期はもちろんのこと、日々つねに医療事務関連についてキャッチアップしていく姿勢は大事です。
今自分には何が足りないのか?
どこを強化していくべきなのか?
そんな視点をぜひ持っておいて頂きたいです。
この先もまだ医療事務員であるならば、学び続ける姿勢だけは捨てないでほしいです。
本当にそう思うのです。